最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 途中で何人かの貴族とすれ違い、軽く挨拶を交わした。
 彼女たちの視線はことごとく、背後に付き従うアルヴィンに向けられている。
(うん、わかる。わたしも知り合いじゃなかったら、そうしていると思う)
 頬を染めて俯く彼女たちに心の中で同意しながら、セシリアは会場に辿り着いた。
 アルヴィンが開けてくれた扉を通って、中に入る。
(わぁ……。思っていたよりも広い)
 体育館くらいの大きさのホールに、椅子がたくさん並んでいた。後ろに受験生。右側に王太子や騎士団長、魔導師団長。それに高位の貴族たち。左側には在校生が並んでいた。
(あ、お兄様だわ)
その中に兄の姿を見つけて、セシリアは咄嗟に視線を反らす。
 兄は貴族の中では珍しくがっちりとした身体をしているので、かなり目立つ。
 背の高さはアルヴィンと同じくらいだが、身体の厚みは倍以上もある。
 兄もまた、あまり貴族に見えない体格を気にしているようで、今も大きな身体を縮めるようにして、椅子に座っている。
(せっかく体格に恵まれているのだから、騎士団のほうが活躍できそうなのに)
 そんな兄の姿を見て、そう思う。
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