最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 むしろあの体格なら堂々としていたほうが、威厳があると思うのだが、そんなことを兄に言うわけにはいかない。
 兄が魔法にこだわっているのは、母やセシリアの存在があるからだ。
 それに貴族に生まれ、魔力を持っているにも関わらず、魔導師ではなく騎士団に入るのは、貴族にとっては恥だと考えられているようだ。
(魔導師も騎士も、どちらも大切な存在だと思うけど……)
 セシリアはそっと息を吐いて、ホールの中央に視線を向けた。
 そこには豪華な台座があり、緋色のクッションの上に大きな水晶が置かれていた。
 あれに手を翳して、魔力を測るらしい。
(魔力が弱い人はぼんやりと、強いと眩しいくらい光るって聞いたわ)
 セシリアを始めとした受験生たちも、他の生徒の成績が気になってそわそわとしていた。
 トップバッターは、同い年の王女のようだ。
「ミルファー王女殿下」
 学園長が恭しくその名を呼ぶと、一番前に座っていた少女が立ち上がった。
 女性にしては背が高く、細身のすらりとした美人だ。
 茶色の艶やかな髪は肩あたりで切り揃えられ、凛とした気品ある佇まいながらも、すでに大人の色気を漂わせている。
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