最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 王太子の想い人を嫉妬から殺害してしまい、修道院に護送される途中で殺されたことを伝えると、アルヴィンは怒りを抑えるように、両手をきつく握りしめる。
「俺が傍にいれば、セシリアをそんなふうに死なせたりしなかった」
「アルヴィン?」
 まさか彼がそんなことを言うとは思わず、セシリアは驚くよりも戸惑って、そっと握りしめられているアルヴィンの手に触れる。
「夢の中のセシリアは、罪人だったのよ。ひとりの女性を殺めているわ」
「たとえどんな罪を犯そうと、セシリアであることに変わりはない。むしろ王太子ともあろう者が、婚約者がいるにも関わらず、他の女性と懇意になるなど、許されることではない」
「それは……。たしかに」
 恋愛ゲームだから仕方がないと言っても、アルヴィンには通じないだろう。だからセシリアは、今の価値観に合わせて頷いた。
 人の心を縛ることはできない。
 王太子がヒロインに惹かれた心を咎めることは、誰にもできないことだ。
 だが彼は王太子という立場にも関わらず、表立ってヒロインと交流し、好意があることを隠そうともしなかった。
 それがセシリアの嫉妬心を煽り、暴走してしまうきっかけとなる。
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