甘く響くは君の声。
1.金髪の君
「ふぁ〜っ。退屈だったぁ。校長の話って何であんなに長いわけ?」
「つっ、翼(つばさ)ちゃん!声大きいよっ。まだ先生方近くにいるんだから聞こえちゃう!」
あわあわと私より身長が15cm高い翼ちゃんの口を両手を伸ばしてなんとか塞ごうとするもサラリとかわされてしまった。
「はいはい。ゆらのは相変わらずちっちゃいね。中学入った時から1mmも伸びてないでしょ」
「3mmは伸びたもんっ!」
ドヤ顔で翼ちゃんを見上げれば、彼女が酷く哀れんだ表情で私を見ていた。
翼ちゃんがモデル体型なだけなのにっ。
「それにしても小・中ときて高校までゆらのと一緒なんて嬉しいよ」
そう翼ちゃんが微笑めば、
「私もだよ。必死に勉強して良かった!」
私も笑みを返した。
今日は入学式。
真新しい制服に身を包み、この公立の森ノ宮(もりのみや)高等学校にいるのが夢みたいだ。
この学校は特進科と普通科に別れてはいるものの、普通科でもかなりレベルが高い。
中学の成績がずっと中の下ぐらいだった私には無理だと先生から志望校のレベルを落とすように散々説得されたけど、私は折れなかった。
死に物狂いで寝る間も惜しんで勉強した甲斐があって奇跡的に合格したのだ。
そして、同時にダイエットもして5kg痩せたし、受かった後は翼ちゃんにメイクとかヘアアレンジの仕方、お洒落に見える制服の着崩し方などなどレクチャーしてもらって今日という日を迎えたのだ。
それもこれも全てあの人に釣り合う自分になりたかったが為!