甘く響くは君の声。
ーー1年前のあの日から毎朝この時間に土手まで走るようになった。
あの日以来、彼は1回も姿を見せていない。
翼ちゃんの言うようにもう学校卒業していたら、大学なり就職なりしてこの土地から離れてしまっていても不思議じゃない。
けれど、私はどうしても諦めきれなくてこうしてあの日彼が居たこの時間に土手に来て探してしまう。
「…っはぁ」
乱れた息を整えながら土手を見渡すもやっぱり今日も金髪の君は居なかった。
…いい加減、諦めなくちゃいけないのかな。
ふぅ。と、大きく息を吐き夜明けの空を仰いだ後再び走って家路へと向かった。