甘く響くは君の声。
「ひゃあーっ!遅刻ちゃうよーっ!」
あのあと身体も冷えたしとお風呂に入ったのが運の尽き。
湯船に浸かりながら気持ち良くなってうとうとと寝てしまったのだ。
気付いた時には家を出る15分前で、どんなに夢であれ!と願ったことが。
髪は乾かしたけど、セットしている時間もなく
メイクする時間なんてもってのほか。
素早く制服に着替えるとそのまま家を飛び出した。
有難(ありがた)いことに、我が家から高校まではそんなに遠くはない。
歩いて20分。走って15分といったところか。
息も絶え絶えに走って走って何とかギリギリ朝のホームルームに間に合いそうと少しホッとしたときだった。
通学路のひとつ裏の小道の方で人の話し声が聞こえてきた。
いつもならそのぐらいの事気にもかけないのに、何故だか気になって仕方がなくて、そろりと小道の方に忍び足で向かう。
そこにはうちの高校の制服を着た男女が立っていて。
野次馬根性で聞き耳まで立ててしまう私。
男子生徒のほうはこちらからして後ろ向きなので、その表情を伺う事は出来ないが、女子生徒の方は表情も声も良く見聞き出来た。