甘く響くは君の声。
「あ…の、」
私が何か言おうと口を開くも、女の子は私をその濡れた瞳でキッとひと睨みして去っていってしまった。
この場に残っているのは野次馬がバレた私と、オオイシ先輩。
き、気まずい…。
ここは一言謝ってとっとと退散しよう…!
教科書をバサバサ急いで集めてバッグに詰め込んでいると視界に映ってきたのはオオイシ先輩の靴。
「…アンタ、」
ひぃぃぃぃぃっっっ!!!
「ごごごめんなさいっー!」
オオイシ先輩の顔を拝むことなく、私は脱兎(だっと)のごとく、その場から逃げ出した。