甘く響くは君の声。

「なぁーんか、気に入られちゃったみたいよね」

今はお昼休み。日の当たる窓際の席でお弁当を食べながらニヤニヤが止まらないのは翼ちゃん。

「…こ、困る…」

朝から生きた心地がしないのは、私。

大石先輩狙いの一部のクラスメイトからの睨みや陰口があの後からとても酷い。

私、入学早々いじめの対象になっちゃうのかな…。

「大丈夫っ!いざとなったらこの翼様がゆらののこと守ってあげるから!空手初段は伊達じゃないわよっ」

「つ、翼ちゃーん!」

「それに、あたしも一部の女子達から敵視されてるみたいだしね」

ハァ。と、ため息を吐きながら玉子焼きを口に放り込む翼ちゃん。

…翼ちゃんの場合は、その抜群の容姿とスタイルで目立つグループの女子達からやっかみを受けているらしい。

「翼ちゃんの可愛さとスタイルの良さは日々の努力の賜物なのにね」

わたしはお母さん特製の唐揚げをもぐもぐ食べる。

「…くっ!あたしの事、解ってくれるのはゆらのだけよ〜っ!」

「わっ!ちょっ、お弁当ひっくり返っちゃうよ!」

向かい合わせに机を並べて座っているのにその正面から身を乗り出して抱き着いてくるから机がガタガタ揺れてお弁当がひっくり返りそうになって焦った。

…それにしてもこの高校生活、一筋縄じゃいかない気がしてたまらないよ。
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