甘く響くは君の声。
「しかし、本当にこの学校にいるのかねぇ。アンタのその『金髪の君(きみ)』ってのは」
「いるもんっ!間違いなくここの制服着てたしっ!」
まさかのクラスも同じになった翼ちゃんと教室に向かいながら話し込む。
「でもさぁ、金髪の君と出逢ったのって1年前でしょ?もうとっくに卒業しちゃってるんじゃないの?」
「それならそれでまた追いかけるもんっ」
「アンタそれ完全にストーカーだから」
…うっ。
翼ちゃんの鋭いツッコミに言葉が詰まる。
私はただもう一度逢いたいだけだけど、第三者から見ると私の行為は立派なストーカーとして成り立ってしまうのか…。
う〜ん。と、黙りこくった私の横で翼ちゃんの大きな溜め息が聞こえ、教室の扉をくぐったところで担任らしい先生も教室に入ってきて、
「席に出席番号書いた紙貼ってあっから番号順に座れーっ」
まだ30代前半とおぼしき先生は少し茶色がかったふわふわな髪に垂れ目が印象的ななかなかのイケメンで、女生徒の何人かは頬を赤く染めている。
翼ちゃんの名字は「高杉(たかすぎ)」で、私は「小鳥遊(たかなし)」なので、私の前の席が翼ちゃん。
…私と身長15cmも差があるのに座高がほぼ一緒ってどういうことなの…。