甘く響くは君の声。
…パチン。パチン。
7枚の資料をひとつにしてホチキスでとめてく作業を黙々とやっているのに終わりが見えてこない。
気付けば夕暮れ近くなっていて、吾妻先生の言葉が頭をよぎって焦る。
早くしなきゃっ!
でもどうしよう。終わりそうもないよ…。
わたしがこれ最後までやらなかったら翼ちゃん怒られちゃうのかな。若田さんはどうでもいいけど、翼ちゃんが怒られるのは嫌だな。
でも、もうお腹空きすぎて集中力も散漫になってきている。
本当に、どうしよう。
そんな途方に暮れていた時だった。
「ーー何してんの?」
教室の出入り口から聞こえたのは落ち着いていながらも少年特有の掠れ気味の声。
声の差した方に顔を向ければそこには大石先輩が出入り口に寄りかかって立っていた。
「…先輩…?どうして…っ」
「小鳥の靴がまだあったからここかなって」