甘く響くは君の声。
「っ、」
当たり前のように言ってくる先輩にまたキュンときてしまう。
落ち着け、ゆらのっ!私には金髪の君がいるのよっ。
「な、なんで、私の…っ」
私の靴があるか確認したんですかーー?
そう質問したかったのに先輩がずんずんこっちに向かってきて、私の前の席、翼ちゃんの椅子に後ろ向きに座って先輩と目が合ったと思ったらそのままニコリと微笑ったから。
言葉を、失ってしまった。
「コレ、小鳥ひとりでやってんの?」
用紙をペラリと1枚摘んでみせてきた。
「あ、はいっ」
心臓の音がうるさ過ぎて自分の声量が把握出来なくて。
きっと、大きな声だったんだと、思う。
だって先輩が「フハッ」て、また笑ったから。
「手伝う。この7枚のやつをひとまとめにしたらいい?」
「えっ!あ、そうですけど、でもいいですっ!大丈夫ですっ!」
「ひとりでやれる量じゃねぇし、ホチキスもうひとつあるじゃん」
「で、でもっ!」
「とっとと終わらせるぞ、小鳥」
言うなり、パチンパチンとわたしよりずっと速いスピードで用紙をまとめ始めてしまったから、わたしもグッと口をつぐんで作業を再開した。