甘く響くは君の声。
どれだけの時間が経っただろう。
夕暮れが深くなって、学校に残っている生徒も疎(まば)らで。
この教室には、私と先輩のふたりきりで。
ホチキスのとまる音だけが響いていた。
作業に集中しようと何度も何度も自分に喝を入れたけれど、目の前にいる先輩が気になり過ぎて気を抜くと手が止まりそうになる。
容姿もスタイルも所作もどれをとってもとても綺麗で。
多くの女の子達が先輩に恋をしてしまうの解る気がする。
「よし、終わりっ!」
先輩の声にハッと我れに返る。
「あ、ありがとうございましたっ。先輩のお陰で早く終わりました」
「いーよ。それよりコレどうすんの?職員室?」
「いっ、いえ!教卓の上に置いて帰っていいそうです」
「ん。じゃあ帰るか」
「はいっ!」