甘く響くは君の声。
「よっ、燿…っ!」
いまここに居るはずない大石先輩の突然の登場にビックリしたのか、ギャルが私の胸ぐらを掴んでいた手をパッと放した。
私はその場にへたり込み、私を守るように前に出た大石先輩の背中を見上げる。
「せんぱ…っ、ど、して」
「靴箱のところから見てた。お前全っ然!気付いてくれなかったけど」
「全っ然!」というところをヤケに強調していたように聞こえたのは気のせいという事にしよう…。
「立てるか」
優しく手を差し伸べられて、それにすがるようにして何とかヨロヨロと立ち上がることが出来た。
「っ、燿!!なんでこんな奴のこと構うんだよっ!ウチらと一緒に居た方が楽しいって!こんな奴、ちょっと顔が良いだけじゃん!!ウチらの方が可愛いし、連れてて自慢出来るよ!?」
「…さっきからひとの名前呼び捨てにしてるけど、お前らこそ何。てか、誰?」
先輩の冷ややかな物言いにギャル達が凍り付く。