甘く響くは君の声。
「な、に、言ってんの?燿!ウチら同じクラスじゃん!いつもウチ燿に挨拶だってしてるっ、」
「知らねぇな。そもそもその挨拶、俺、お前らに返したことあるか?」
「っ、それはっ!!」
悔しそうにギリリと奥歯を鳴らすギャル。
「で、話戻るけど。小鳥が俺の彼女だったら隣歩こうが何しようが文句ねぇの?」
何しようがって何すんのよっ!
いまとても口に出して突っ込めないので心の中でツッコミ入れてみる。
「そ、そりゃ、彼女ならっ…。でも彼女じゃないんでしょ!?」
「…どうかな」
ニヤリと笑うなり、私の身体を支えていない方の手がそっとわたしの後頭部へ回される。
「?せんぱ…、」
先輩のその綺麗な顔が私の目の前にきたと思った次の瞬間、唇に温かくも柔らかい『なにか』が触れた。
…え?
瞬きさえ、出来なくて。
視界に映るのは近過ぎてボヤける先輩の顔で。
キス、されたんだって気付いたのは唇が離れ、先輩が愛おしそうに私の頬をスルリと撫でてからだった。