甘く響くは君の声。
「……」
「……」
大石先輩以外のこの場に居るひと全員が呆然としてしまっていて。
先輩はそんなのお構いなしに今度はわたしの身体ごと自分の腕の中に大事そうに包み込んで、
「小鳥遊ゆらの。は、今日から俺の彼女だから。だから、次こんなことしたら…わかってるよな…?」
ギャル達は顔面蒼白で、先輩の言った事にコクコクと無言で頷くのが精一杯っぽかった。
「…忘れんなよ。小鳥、歩けるか?行くぞ」
私は私で、先輩に腰を支えてもらいながらその場を立ち去るので精一杯だった…。
先輩は今は使われていない空き教室に私を誘導して、椅子にそっと座らせてくれて、先輩はしゃがんで目線を私と同じ高さにした。
「…大丈夫か?」
私の冷たくなった両手を自身の温かい両手で包んでくれる。
私はその様を人事のようにボーッと見ていた。
そんな私の様子に気付いた先輩は、その大きくしなやかな手で私の頭を優しく撫でて、
「…ごめんな。怖かったよな」
私よりも辛そうに顔を歪ませた。