甘く響くは君の声。
「っう、うぅ〜」
張り詰めた糸がプツンと切れたのか、涙が大粒の雫となって頬を伝い、顎からボタボタと次から次へとスカートの上に落ちて行く。
そんな私の顔を胸に押し当て、先輩は私の涙が止まるまでそのまま抱き締めてくれてた。
あのギャル達のことが怖かった。
先輩が助けに来てくれなかったらどうなっていたか分からないと思うとゾッとする。
でも、それよりも何より嫌だったのは、
「私、先輩の彼女になんてなりたくないですぅ」
これだ。
「あ?なんでだよっ」
先輩、めちゃくちゃ顰めっ面になってる。
「私っ、好きな人が居るんですっ。だからわたしの初めて全部その人に捧げるつもりでもいたのに、酷いじゃないですかぁ」
「…その好きな奴、名前は?どこの学校?」
「…わかりません」
「は?」
「後ろ姿と歌声しか知らないんです…」
「どういうことだよ」
私は1年前の出来事を涙を無理やり引っ込めて先輩に話した。