甘く響くは君の声。
「金髪の君。ねぇ。顔も知らないで一目惚れしたなんてソイツの歌、そんなに良かったのか?」
「はいっ!それはもう素敵な歌声でした!なんて言うか、心が浄化されるような、でも、魂を震えさせるような。そんな感じでっ!」
そこまで言って、ハッとした。
さっきまでヘロヘロだった私が勢い良く立ち上がり声量も最大で金髪の君のことを力説して。
ひ、ひかれたかな…。呆れられたかな。それともバカにされるかな。
恐る恐る先輩の顔を見るとポカーンとした表情でこちらを見ている。
…うん、これは呆れている。予想通りの反応だ。
「…可笑しいですよね。こんな恋。でも、諦められないんです。1年経った、いまでも」
誰にも解って貰えない恋。
『なんでそれだけで恋出来るの?そんな恋早くやめた方がいいって』
あの翼ちゃんでさえ、散々そう言ってきたのだ。
先輩なんて恋愛し放題だろうから、私の気持ち解らなくて当然だ。
「っ、すいません変な話しして。忘れてくだーーむぐっ!?」
謝って、自分のクラスの教室に戻ろうとした時、左腕をクンッと引っ張られてバランスを崩しまた先輩の腕の中に収まると、口の中にコロコロとしたかたいものが入ってきた。
途端に口内がしゅわっとした刺激を受け、広がるこの味はーー。