甘く響くは君の声。
「ちょっ…えっ、好きって…私のことですか?」
「さっきからそう言っているんだけど?」
「何でですかっ!?私と先輩はまだ知り合って間もないんですよ!?」
「…けど、俺だけの小鳥にしたくて堪らないんだ。他の女とじゃこんな気持ちにはなれない」
せ、先輩はもしかして、惚れっぽいのかなぁ!?
どうしていいのか分からずにいると先輩はフッと薄く笑って、
「そろそろ教室に帰るとするか。高杉も心配していると思うぞ」
クイッと親指で教室の出入り口の方を指した。
「あっ!そうだ!私、翼ちゃんにーーっ」
「大丈夫だ。高杉には俺が助けに行ってくるから心配しなくていいと言っておいた」
…イケメンは中身もイケメンなのね。
ほぅ。と、感心しているとチャイムが鳴った。
あれ?今って…
「お。1時間目が終わったのか」
「えっ!?」
そんなに時間経ってたの!?
「じゃっ、じゃあ先輩っ!助けてくれて本当にありがとうございました!」
「あ、おいーーー」
先輩が何か言いかけたけれど私はそれに耳も貸さずに自分の教室へと、ありったけの力を振り絞って全力疾走したのだった。