甘く響くは君の声。
「大変申し訳ありませんでしたっ!!」
お昼休み。
中庭の大きな樹の下で、翼ちゃんは私に向かって見事なまでの土下座をしたのだった。
「えっ、えっ?」
翼ちゃんの土下座の意味が分からず、慌てる。
「翼ちゃん、一体どうしたの?」
お弁当を広げかけていた手を止め、翼ちゃんの姿勢を元に戻してあげた。
「…あたしの所為(せい)なのっ」
翼ちゃんの声は、震えていた。
「ホラ、ゆらの、職員室で見掛けたイケメンが気になるって言ってたでしょ?それであたしがゆらのの恋を叶えてあげるって…。
それであたしなりに調べたら、あの時いたのは大石先輩と間違いないみたいだし、ゆらのと先輩との距離が縮んでくのわ見聞きして、だからっ2人くっつけばいいなって思って…」
「思って?」
「ゆらのと先輩は想いあってる。みたいな噂を…。それが今回ゆらのを呼び出した奴等の耳にも入って激昂して…って感じらしくて…」
どんどん声も体も小さくなっていく翼ちゃん。