甘く響くは君の声。
私は、ハァ。とひとつ小さく息を吐いて
「そうだったんだね。でも、翼ちゃんは私の幸せを願ってした事だから責められないよ。幸い怪我ひとつなく済んだしね」
あの時の翼ちゃんの強い意気込みを思い出すと怒るに怒らないのが正直な気持ちだった。
「…ゆらのぉ」
「それに、その様子だと大石先輩には、しぼられたんじゃないの?」
ニヤリと片方の口角を上げて問えば、翼ちゃんは「それはもうこってりと」と苦笑い。
2、3時間目の休み時間、翼ちゃんはササッとどこかへ行ってしまって、妙にゲッソリして帰ってきてたからなぁ。
「翼ちゃんは良かれと思ってやったことだしね。さ、この話はお仕舞いにしてお昼ごはん食べよう?昼休み終わっちゃう」
「ん、」
涙ぐんでいる翼ちゃんの頭をなでなでして、私達はいつも通りお昼ご飯を食べた。
…翼ちゃんの頭を撫でる時も座高が同じぐらいな事に対しては、やはりショックを隠せない私だったけれどね。