甘く響くは君の声。
とぼとぼと力無い歩きで靴箱に向かっていると、
「小鳥」
聞き覚えのあるイケボに名を呼ばれた。
「先輩…」
「お前ひとりで帰んの?高杉は?」
「それが…」
事情を話すと、
「へぇ、あいつモデル志望なのか」
「はい。オーディションまでレッスン漬けになるみたいなので、暫くはひとりで下校なんです」
「じゃあ失礼します」とひと言挨拶をして帰ろうとしたらその片腕をガシッと掴まれた。
「じゃあ高杉と下校出来ない間は俺と帰ろうぜ」
「へっ!?」
ニヤリと笑った先輩は更に続けて、
「俺達、カレカノなんだし」
「ちっ、違いますっ!」
焦って先輩の言葉を否定するも先輩は聞こえてないかのように、私を引っ張ると
「んじゃ、放課後デートと行きますかっ」
それはそれは嬉しそうに。
そんな表情されたら断れないよ…。
どうか、先輩といるところを金髪の君に見られませんようにっ!
そんな自分勝手なお願いをしつつ先輩の手に引かれて私達は放課後デートへと繰り出した。