甘く響くは君の声。
「そ、そんなぁ…」
うっ…。
ショック過ぎて泣きそうになっていると、吾妻先生は突然真顔になり私のことをジッと見つめてきた。
「…なぁ、小鳥遊」
「はい…」
「俺ならお前の事そんな風に悲しませたりしねぇ。…どうだ?ここは俺と付きあっ」
「セクハラで訴えますが?」
「高杉ぃ!冗談っ!冗談だって!!ただ俺は小鳥遊を元気付けようとだなっ!だからそんな目で見ないでくれっ」
「はっ、どうだか」
「…?」
気付けば翼ちゃんが極寒の眼で先生の事を睨んでいて、先生はそんな翼ちゃんに酷く怯えていた。
「よ、用事がそれならもう終わったろ!?お前らもう帰れっ」
「言われなくても帰りますよ。行こっ、ゆらの」
「う、うん…」
翼ちゃんに腕を掴まれズルズルと引きずられながら職員室を後にしようとした時だった。
同じ職員室に居た男子生徒とバチっと目が合って。
その人があまりにも綺麗な顔立ちでわたしは思わず見惚れてしまっていると、その男子生徒はそんなわたしを見てフッと優しく微笑んだ。…ように、見えたんだけど。
気のせい…だよね。