甘く響くは君の声。
「…え?」
そう憎々しげに彼が睨んで見ているのはわたしの右肩。
なんだろうと自分の右肩を見ると誰かの手がわたしの肩を掴んでいて。
「っえ!?」
ビックリして左上を見るとそこにはあのイケメンが満面の笑みでわたしの方を見ているではないかっ。
「っこ、これは間違いですっ!!わたしは貴方、金髪の君ひとすじーー」
わたしが言い終わらないうちに金髪の君はフイと目線を外すと土手の向こうへ消えていってしまった。
「待ってぇぇええっっっ!!」
ハッ!!
「あ、れ…?」
気付けば見慣れた天井があって、わたしはその天井に向かって左手を伸ばしていた。
ゆ、夢…?
まだ混濁気味の意識の中なんとか上半身を起こせばパジャマは汗でぐっしょりと濡れていて。
チラリと時計を見やればまだ夜明け前の4時。
けど、もう起きる時間だ。
わたしは汗に濡れた身体を熱めのシャワーでザッと流して素早くスポーツウエアに着替えて髪はポニーテールに結い上げて家族が起きてしまわないようにそっと家を出た。