僕惚れ②『温泉へ行こう!』
 理人(りひと)の舌が(うごめ)くたびに身体全体にゾクリと快感が走った。余りの刺激に、理人を(くわ)えたままのそこに、ギュッと力が入ってしまう。

「――んっ、()(さき)っ! お願い……。あんまり締め付けない、で……っ」

 途端、理人が私を抱きしめるようにして耳元で切なげにそう言ったけれど、火がついてしまった私の身体は、彼のその声にすら呼応して更に強く彼を締め付けた。

「ん、あっ……」

 理人が、(こら)えきれず()らした(あえ)ぎ声が耳朶(じだ)をくすぐって、膣の奥がキュン……と切なく(うず)く。

「……り、ひとっ……」

 浴槽の縁に付いていた手が、いつの間にか宙を掻くように泳いで、それに気付いた理人が、すぐに後ろから手を絡めてくれる。

 理人(りひと)に手を重ねられたまま、窓ガラスに腕をつくようにして立つと、私の背後にぴったりくっついた彼が、再び腰を動かし始める。

 彼が抽挿(ちゅうそう)を繰り返すたびに、湯船の中が大きく波立って、大量のお湯が外に飛び跳ねては床を流れていく。

「あんっ、理人っ、お、湯っ、もったいなっ……あっ」

 感じすぎる身体を何とか落ち着けたくて、関係ないことを口走ってみたけれど、全然ダメで。

 バシャバシャと踊り狂うお湯が、理人とつながった所に割り込むように掛かってきただけで――。そんな些細なことですら刺激になって腰が砕けそうになる。

 鏡面になったガラスには、情欲に溺れてトロンとした顔の私と、何かを必死に(こら)えるように眉根を寄せる理人が映っていて……。
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