僕惚れ②『温泉へ行こう!』
葵咲の同級生
新幹線は指定席を取っていたので、座れないという心配もなく、私たちはのんびりした気分で予約した席に向かった。
理人に、荷物を棚に上げてもらっていたら、突然前に座っていた若い男性から声をかけられた。
「――もしかして、丸山さん?」
見れば、高校時代クラスメイトだった正木くんで。
「わ、正木くん!?」
懐かしさに思わず声が弾んでしまってから、しまった、と思う。
案の定、理人がすかさず私の後ろに立って、「どなた?」なんてわざとらしく聞いてきた。
「高校生の頃のクラスメイトの正木くん。正木くん、こちらは――」
私が紹介するより先に、理人がずいっと私の前に出る。
「はじめまして。池本理人です。葵咲――あ、丸山さんとお付き合いさせていただいています」
わざとらしく一度、葵咲、と呼んでから丸山さん、と言い直したように聞こえた。
いつもスーツ姿の理人は、今日は白のサマーニットに、黒のスキニーというラフな格好で、実際の年齢より幾分若く見える印象だった。だからかな。
Tシャツにジーンズといういでたちの正木くんが、値踏みするように理人を見てから、
「あ、丸山の彼氏さんでしたか。俺は正木徹です。彼女とは出席番号が近かったご縁で学生時代、かなり仲良くしていただいてました」
わざと丸山、と私を呼び捨てにして、ことさら仲がよかったとか強調したように感じた。そういう子供っぽい反応が、何だか理人といい勝負で。
理人に、荷物を棚に上げてもらっていたら、突然前に座っていた若い男性から声をかけられた。
「――もしかして、丸山さん?」
見れば、高校時代クラスメイトだった正木くんで。
「わ、正木くん!?」
懐かしさに思わず声が弾んでしまってから、しまった、と思う。
案の定、理人がすかさず私の後ろに立って、「どなた?」なんてわざとらしく聞いてきた。
「高校生の頃のクラスメイトの正木くん。正木くん、こちらは――」
私が紹介するより先に、理人がずいっと私の前に出る。
「はじめまして。池本理人です。葵咲――あ、丸山さんとお付き合いさせていただいています」
わざとらしく一度、葵咲、と呼んでから丸山さん、と言い直したように聞こえた。
いつもスーツ姿の理人は、今日は白のサマーニットに、黒のスキニーというラフな格好で、実際の年齢より幾分若く見える印象だった。だからかな。
Tシャツにジーンズといういでたちの正木くんが、値踏みするように理人を見てから、
「あ、丸山の彼氏さんでしたか。俺は正木徹です。彼女とは出席番号が近かったご縁で学生時代、かなり仲良くしていただいてました」
わざと丸山、と私を呼び捨てにして、ことさら仲がよかったとか強調したように感じた。そういう子供っぽい反応が、何だか理人といい勝負で。