僕惚れ②『温泉へ行こう!』
私の濡れた浴衣の代わりに、自分が着ていたそれを持ってきて羽織らせてくれると、自分は手近にあったタオルで前を隠した。
その状態で彼に手を引かれて、またしてもお風呂に逆戻り。
お風呂場に入る前に、理人が指輪を外してくれた。
「変色したらいけないからね」
っていう言葉とともに。
私は余りにも感じすぎたためか、全身が倦怠感に包まれていて……理人のそういう細やかな気遣いにとても助けられた。
多分、理人が気付かなかったら私、そのままお風呂に入って後悔する羽目になっていたと思う。
理人は私の気怠い状態を敏感に感じ取って、その後は執拗には求めてこなかった。
理人自身はまだ結構元気なことは、くっ付いた時に感じたけれど、だからと言って彼は何もしようとはしてこなくて――。
理人のそういう紳士的な気遣いが、私にますます彼を愛しいと思わせる。
一緒に湯船に浸かりながら、少し落ち着いたところで、「理人、さっきの私……その……変、じゃなかった?」と恐る恐る聞いてみた。
「……?」
そんな私に、理人はきょとんとするばかり。
「あ、あのね……私が着てた浴衣、びしょびしょになっちゃった……から」
理人が分からないみたいだったので、もう少しだけ踏み込んだ聞き方をしてみる。
と、彼もさすがに察してくれたみたいで。
「まさか葵咲、気にしていたの? あんなふうに濡れるのは、全然変じゃないし、寧ろ僕はキミがあんなふうになってくれて、嬉しかったよ」
にこやかに笑う。
理人が変じゃない、と言ってくれただけで……どうしてこんなにも心が穏やかになるんだろう。
「……よかった」
私はホッと溜息をつくようにそう言うと、情けないことにウトウトとまどろみの底に沈んでいった。
理人が、そんな私の髪の毛を、ずっと優しく撫でてくれていて――。
それさえも心地よくて、理人にもたれかかる様にして、私は束の間、意識を手放した。
その状態で彼に手を引かれて、またしてもお風呂に逆戻り。
お風呂場に入る前に、理人が指輪を外してくれた。
「変色したらいけないからね」
っていう言葉とともに。
私は余りにも感じすぎたためか、全身が倦怠感に包まれていて……理人のそういう細やかな気遣いにとても助けられた。
多分、理人が気付かなかったら私、そのままお風呂に入って後悔する羽目になっていたと思う。
理人は私の気怠い状態を敏感に感じ取って、その後は執拗には求めてこなかった。
理人自身はまだ結構元気なことは、くっ付いた時に感じたけれど、だからと言って彼は何もしようとはしてこなくて――。
理人のそういう紳士的な気遣いが、私にますます彼を愛しいと思わせる。
一緒に湯船に浸かりながら、少し落ち着いたところで、「理人、さっきの私……その……変、じゃなかった?」と恐る恐る聞いてみた。
「……?」
そんな私に、理人はきょとんとするばかり。
「あ、あのね……私が着てた浴衣、びしょびしょになっちゃった……から」
理人が分からないみたいだったので、もう少しだけ踏み込んだ聞き方をしてみる。
と、彼もさすがに察してくれたみたいで。
「まさか葵咲、気にしていたの? あんなふうに濡れるのは、全然変じゃないし、寧ろ僕はキミがあんなふうになってくれて、嬉しかったよ」
にこやかに笑う。
理人が変じゃない、と言ってくれただけで……どうしてこんなにも心が穏やかになるんだろう。
「……よかった」
私はホッと溜息をつくようにそう言うと、情けないことにウトウトとまどろみの底に沈んでいった。
理人が、そんな私の髪の毛を、ずっと優しく撫でてくれていて――。
それさえも心地よくて、理人にもたれかかる様にして、私は束の間、意識を手放した。