僕惚れ②『温泉へ行こう!』
僕の…
キラキラ光る手元を見つめながら、私は今もどこか夢見心地で……。信じられない気持ちで一杯で……。
気がつくと、自分の手を宙空にかざしては矯めつ眇めつしてしまう。
私が飽きもせず見つめている先――左手の薬指――には、理人がくれた指輪が光っていた。
旅行から帰ってきてしばらく、理人は先の言葉通り、コレといったリアクションを起こすことなく、日々を過ごしていた。
休みになるたびにデートは重ねていたけれど、それは言うなればいつも通りの過ごし方で。楽しいけれど……旅先での言葉は夢だったのかな?とか思ってしまうぐらい変化に乏しいものだった。
それが一変したのは先日の逢瀬。
理人に連れられて行った先は、全国展開しているような有名ホテルの最上階にあるレストランで、見るからに高級そうな雰囲気のお店だった。
とはいえ、彼はいつも通りの見慣れたスーツ姿。
私はというと、彼とのデートの時はいつも少しお洒落をすることを心がけていて……。
その日はデコルテの辺りがレース素材で透け感のある、黒のロング丈ワンピースを着ていた。
髪は、まだ暑い折だったので、トップからざっくり編み込んで、毛先のほうをフィッシュボーンにしてから、それを黒いゴムで結い留めた。そのゴムを隠すように、甘くなり過ぎない印象の淡いピンクのシュシュが巻いてある。
取り立ててドレッシーにしてきたわけではないけれど、お店のドレスコードには引っかからなかったみたいで、入店を拒まれたりはしなかった。
気がつくと、自分の手を宙空にかざしては矯めつ眇めつしてしまう。
私が飽きもせず見つめている先――左手の薬指――には、理人がくれた指輪が光っていた。
旅行から帰ってきてしばらく、理人は先の言葉通り、コレといったリアクションを起こすことなく、日々を過ごしていた。
休みになるたびにデートは重ねていたけれど、それは言うなればいつも通りの過ごし方で。楽しいけれど……旅先での言葉は夢だったのかな?とか思ってしまうぐらい変化に乏しいものだった。
それが一変したのは先日の逢瀬。
理人に連れられて行った先は、全国展開しているような有名ホテルの最上階にあるレストランで、見るからに高級そうな雰囲気のお店だった。
とはいえ、彼はいつも通りの見慣れたスーツ姿。
私はというと、彼とのデートの時はいつも少しお洒落をすることを心がけていて……。
その日はデコルテの辺りがレース素材で透け感のある、黒のロング丈ワンピースを着ていた。
髪は、まだ暑い折だったので、トップからざっくり編み込んで、毛先のほうをフィッシュボーンにしてから、それを黒いゴムで結い留めた。そのゴムを隠すように、甘くなり過ぎない印象の淡いピンクのシュシュが巻いてある。
取り立ててドレッシーにしてきたわけではないけれど、お店のドレスコードには引っかからなかったみたいで、入店を拒まれたりはしなかった。