君とベビードール
その、甘い声を上回る、甘いくちづけが落ちてきた。
優しくて、柔らかい。ふんわりしていて、暖かい。
ピンク…。
そうだ、色に例えれば、ピンク色。
あたしから、そっとくちびるを離した先生の肩越しには、
本棚に載った、ベビードール。
まるで、ベビードール色のくちづけ。
ゆっくり息を吸えば、あたしから移った香りが、先生からふんわり、漂った。
もう、あたしだけのものじゃない。
あたしと先生の、ベビードール。