君とベビードール




先生の顔が、あたしの顔に着きそうなほど接近して、思わず顔が真っ赤になる。




そんなあたしをみた先生は、いつものようにふっ。って笑った。



「本当に君は素直だねぇ。」



あたしを覗き込んだ。


先生の長めの前髪の隙間から、いたずらっ子の瞳が覗いている。



あぁ、もう…。



恥ずかしいやら嬉しいやら、しあわせな気持ちが入り混ざって、先生の膝から逃げだそうとしたあたし。



「だーめ…。」



あたしの耳元で吐息混じりに呟く先生。



「――…!!」



一瞬、動きが止まったあたしを、素早くまた、捕まえた。
< 159 / 240 >

この作品をシェア

pagetop