君とベビードール




食い入るように、テレビを見つめるあたし。



このアーティスト、ほとんどテレビ出ないんだよね~。なんだか、得した気分。




思わず前のめりになって、テレビにかじりつく。



「…なぁーに、見てるんだい?」




突然先生の声がして、



「―わっ!びっくりしたぁ~、いつ起きたんですか?!」



微妙に後ろを振り返りつつ、先生に尋ねた。



「ん?君がテレビに気を取られていた辺りからだよ…。」



あたしのうなじに先生の息がかかって、くすぐったい。
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