君とベビードール



「…あの、ね。あたし今、付き合ってるひとがいて、すごく好きなの。でもたぶん、そのひとはあたしじゃない子を好きになったんだと思うの。」



でも、こんなに好きになった後じゃあ、ツラいなー。はは。あたしも笑って見せた。



「…そっかー。じゃあ今日は、とことん飲もう!飲んで嫌なことなんて、忘れちまえ!!」



すいませーん!!ビールの大ジョッキ2つで!



店員さんにオーダーしたあと、及川くんは静かに続けた。



「こういう時はさ、忘れていいんだよ。いっときさ。今日はとことん飲んでまた明日、考えりゃあいいんだよ。な?」



あたしの髪を乱すくらいわしゃわしゃ撫でてくれた。
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