君とベビードール



「怒んないの?」



伺うようにあたしを見つめる及川くん。



「…なんか、あんまり実感がわかなくて。」



「…だよなー。なんか俺、色々負けてるわー。」



はぁ。大きなため息を吐いた。



「及川…くん?」



「俺さー、高校ん時、好きだったんだよ。清水のこと。」



突然の告白は、頭の中で熱を持って響いた。



「昨日、偶然再会してさ、あー運命かもって思った。でもさーやっぱ俺、清水には幸せになってもらいたいんだよ。残念ながら、相手は俺じゃないわ。」



また1つ、ため息を吐いて。
< 216 / 240 >

この作品をシェア

pagetop