君とベビードール
8.
准さんのアパートに着いて、階段を登る。
1つ深呼吸をしてチャイムを鳴らした。
「…いない。」
部屋からは物音も聞こえない。
あたしが鳴らす、チャイム音だけが響いている。
今まで電源も入れずに、放っておいた携帯を取り出して、やっと電源を入れる。
メールは30数件。総て准さんからで。
「どうしたの?」
「心配しています。」
「僕が何かした?」
「紅湖」