君とベビードール



「…准さん、携帯繋がらなくて…」



何から話せばいいのか、わからないあたしの口からはそんな言葉が飛び出した。



「…君がそれを言うのかい…、僕は充電が切れたんだよ。なぜなら君に何度となく連絡したからね?」



イヤミが耳にとてつもなく、痛い。



「…それは…、」



言いよどんだあたしを下からのぞき込んで、



「…ん?」


優しい声色で、続きを促した。




「…見ちゃったんです。昨日。准さんの塾の前で、准さんが綺麗な女の子と歩いているのを…」
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