君とベビードール
「いえっ!ほんっとに困ります!!」
強めに手を振り払った。
けど。
「いいじゃんいいじゃ~ん!ほんっとにそこまで!ねっ?!」
今度はむんずとあたしの腕を掴んでくる。
「…やっ!いたい……!!」
ばしっ。と音がして、あたしの腕を掴んでいたお兄さんの手が払われたのと、
「俺の女なんだけど。」
声が聞こえたのは同時だった。
声の主は、ちょうど電灯の光が逆光になっていて、顔はわからないけど、
スーツと紺色のダッフルコートを着た、男の人だった。