君とベビードール
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がらがらと、ドアが閉まる音がして。
ベッドの脇の椅子に、柳井先生が座る気配がした。
もう少し、もう少しだけ……。
先生と2人っきりでいたいな……。
だって、こんなに安心できる空間は、他には、ない……。
もうすぐ、こんな日々も終わってしまう……。
先生。好きだよ。
とても、とても。
目を瞑ったまま、夢と現実の間で、思っていた。
……と…、
不意に瞼の裏が暗くなった。
先生…?
気配で、先生があたしを覗き込んでいるのがわかった。
まだ、まだあとほんの少しだけ…、
眠った振りをさせてよ、先生……。
『紅湖……』
先生に呼ばれた気がした。
しばらくして、あたしのくちびるに、柔らかな感触が降ってきた……。
まるで、一学期にあたしが先生にキスした時みたいな……。