「うん、わかってます。じゃあわたし部屋に行くね。」
早々と2階に行こうとした。

「まって、ちなみになんの本を買ったの?」

いつも細かいところまで気にしてくる。
落ち着いたトーンで話す。怒りっぽく言うとお母さんはすかさず口を挟むから。

「わたしの好きな作家さんのサスペンスシリーズものの新刊だよ。よく読んでるでしょ?
でも、なかったから今日は買えなかったの。」
聞かれそうなことを先に答えておく。

「そうなの、それは残念だったね。ご飯できたら呼ぶから下りておいでね。」

一言返して足早に階段をあがった。

多分、7時くらいにご飯ができるだろうと思い、それまで幼なじみに電話をした。
スマホはいつもご飯のあとくらいから使えなくなるから今のうちに今日あったことを話したかった。

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