2コール目くらいで彼女は電話をとった。

「もしもし、夏月《なつ》?」

めんどくさそうに返事が返ってくる。
「なに?」

笑いがでてしまう。

それが気になったのか夏月は間髪入れずにまた疑問を投げかけてくる。
「なに?なんかあった?気になる。」

少し溜めて今日あったことを話した。
雰囲気のいいお店、綺麗な花、かわいい桃の髪色のおばあちゃん。
あっという間に1時間が経ってしまった。

「誠が、こんなにたくさん話すなんて本当に楽しかったんだね。また、今度聞かせてよ。」

夏月はうちの事情を知っているからちょうどいいタイミングで話をしめてくれた。

「うん、楽しかった。春休み夏月も一緒に行こう。もちろん、夏月のバイトないときにね。」

「それは楽しみです。誠さんのために2日ほどは開けてますので、その時一緒にいかせてもらいますよ。」

ふざけた口調で敬語を使う夏月が面白くてわたしたちはたくさん笑った。

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