ちょうど電話を切ったころくらいにお母さんの呼ぶ声が聞こえたからすぐに1階に下りた。

テーブルの前には帰ってきていたお父さんがもう席に座っていた。

「お父さん、おかえりなさい。」

ひとつ頷いてわたしに席に着くよう、うながす。それにしたがいわたしは席に着く。
お母さんが全ての料理を出し終わるのを待って、いただきますと言いご飯を食べる。

静かに誰も喋ることなく食事は進む。
ご飯は美味しいけど楽しくはない。
そしてお父さんが発した一言でもっと楽しさがなくなった。

「‥誠、お母さんは身体が弱いのわかってるだろ?」

笑顔でわたしに問いかける。
急に何を言い出したかと思った。でも、すぐにわかった。
言葉足らずなお父さんが言いたいことは簡単なことだ。
わたしが今日いつも行かない本屋に行ったことに対する嫌味。できる限り、心配事を作らず2人が思う変なことをしないようにしてほしいと言うことだ。
両親はわたしを守ってるようで自分たちのためでしかない。
もし、本当のこと言っていたらと思うとため息が出そうだ。

< 13 / 41 >

この作品をシェア

pagetop