やっぱり、出直すことを決めた。

「ありがとうございます。出直します。」

この前行けなかった本屋にでも行こう。
外に出て自転車の鍵をあけていると、態度の悪かった人がお店から顔を出してわたしを見て、一度微笑む。
さっきの態度とは違い少し柔らかい笑顔だった。
よくわからない変な人だと思った。

「‥美乃さん戻ってくるまでここで待ってなよ。」

一瞬何を言ってるのかわからなかった。
無意識に鍵を開ける手が止まっている。

「無理にとは言わないけど。」

どうしようか悩む、断るのはほんの少しだけ申し訳なく感じる。でも、気まずい。

そういえば、この間たくさん本があると言っていた気がする。
そうだとしたら、ここで待たせてもらうのもいいかもしれない。
本を読んでいると人の存在なんて気にならなくなるかもしれないし。
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