一人で知らないお店に入ることがないから、少し緊張しながらでもこんなに胸が躍ることはないと思って自転車は邪魔にならないように端の方に止めて、お店に入る。

中に入るとより一層気分があがる。
思っていたより天井は高くオレンジ色の照明と白色の照明がまわりの花を色鮮やか映す、奥の方には和室らしい部屋が見えた。

「いらっしゃい。」

咄嗟に声が聞こえて右を見る。
そこにはおばあさんがいた。多分、花で死角になって見えなかったのだろう。

「こんにちは。」

普段より少し声のトーンを上げてあいさつを返した。
おばあさんはわたしに笑みを浮かべる。
とても品の良さそうな人、髪は桃色に染まっている。

「なにか気に入ったお花でもありましたか?」

優しい口調で話してくれてるおかげかわたしも落ち着いた声色で話した。

「お花のことはよくわからないけど、お店の雰囲気がいいなって思って寄ってみたんです。」

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