あなたに、キスのその先を。
お会いできますか?
結局、先の路地のところで修太郎さんのお車を降りて、自宅へ帰った。
修太郎さんは私が曲がり角を曲がって見えなくなるまで車を動かさずに見守ってくださって、門をくぐる頃には、向きを変えていらして家の前を通り過ぎた。
クラクションを鳴らすとか、ライトでパッシングするとか、そういう目立ったサインは何ひとつお出しにはならなかったけれど、私と目が合った瞬間、軽く片手を挙げて通り過ぎられて。
たったそれだけのことでとても嬉しくなって、同時にちょっぴり照れてしまった。修太郎さんが私を気にかけてくださると思えるだけで、なんて満ち足りた気分になれるんだろう。
「ただいま戻りました」
ほわほわと浮き足だった気持ちのまま、家の玄関を開けながら声をかけると、ちょうど廊下を歩いていらしたお母様と出会って。
「お帰りなさい、日織《ひおり》。ニコニコしてるけど何か楽しいことがあった?」
と聞かれてしまった。
私はお母様のその言葉にドキッとしてしまう。
でも、お母様はすぐに私が手にしたdoconoの袋に視線を落とされて、「ああ、携帯を契約したからルンルンなのね」とおっしゃった。
私は一瞬「え?」と思ったけれど、お母様の勘違いに乗っかることにした。
修太郎さんは私が曲がり角を曲がって見えなくなるまで車を動かさずに見守ってくださって、門をくぐる頃には、向きを変えていらして家の前を通り過ぎた。
クラクションを鳴らすとか、ライトでパッシングするとか、そういう目立ったサインは何ひとつお出しにはならなかったけれど、私と目が合った瞬間、軽く片手を挙げて通り過ぎられて。
たったそれだけのことでとても嬉しくなって、同時にちょっぴり照れてしまった。修太郎さんが私を気にかけてくださると思えるだけで、なんて満ち足りた気分になれるんだろう。
「ただいま戻りました」
ほわほわと浮き足だった気持ちのまま、家の玄関を開けながら声をかけると、ちょうど廊下を歩いていらしたお母様と出会って。
「お帰りなさい、日織《ひおり》。ニコニコしてるけど何か楽しいことがあった?」
と聞かれてしまった。
私はお母様のその言葉にドキッとしてしまう。
でも、お母様はすぐに私が手にしたdoconoの袋に視線を落とされて、「ああ、携帯を契約したからルンルンなのね」とおっしゃった。
私は一瞬「え?」と思ったけれど、お母様の勘違いに乗っかることにした。