あなたに、キスのその先を。
――しゅーおにいちゃん、だいすき!
頭の中に、幼い頃の自分の声が聞こえてきて、私は瞳を見開いた。
「しゅーおにいちゃん……」
茫然と私がつぶやいた一言に、修太郎さんがハッとして私を見つめていらして。
「日織さん、まさか覚えて……?」
何故、今まで思い出せなかったんだろう。
修太郎さんと市役所で初めてお会いした時、私は修太郎さんのお声を聴いて、何て心地よい声をした方なんだろう、と思った。確かにあの時、私は幼い頃に読み聞かせをして下さったお兄さんのことも思い出したのだ。
なのに、繋がらなかった。
それに、修太郎さんの眼鏡を外されたお顔。彼の裸眼のお顔に、何度か既視感を覚えたことがあったのを思い出して、私は修太郎さんをじっと見つめた。
「修太郎さん、あの、その頃は眼鏡……」
言えば
「かけていませんでした」
と返ってきて。
私は恐る恐る両手を伸ばすと、修太郎さんのお顔から眼鏡を取る。
こうして見つめると、確かに修太郎さんは“しゅーおにいちゃん”で。
「ごめんなさい。私、なんで今まで……」
思い出せなかったことが、とても恥ずかしくて……情けなくて……。私は修太郎さんのお顔を見つめたまま動けなくなった。
頭の中に、幼い頃の自分の声が聞こえてきて、私は瞳を見開いた。
「しゅーおにいちゃん……」
茫然と私がつぶやいた一言に、修太郎さんがハッとして私を見つめていらして。
「日織さん、まさか覚えて……?」
何故、今まで思い出せなかったんだろう。
修太郎さんと市役所で初めてお会いした時、私は修太郎さんのお声を聴いて、何て心地よい声をした方なんだろう、と思った。確かにあの時、私は幼い頃に読み聞かせをして下さったお兄さんのことも思い出したのだ。
なのに、繋がらなかった。
それに、修太郎さんの眼鏡を外されたお顔。彼の裸眼のお顔に、何度か既視感を覚えたことがあったのを思い出して、私は修太郎さんをじっと見つめた。
「修太郎さん、あの、その頃は眼鏡……」
言えば
「かけていませんでした」
と返ってきて。
私は恐る恐る両手を伸ばすと、修太郎さんのお顔から眼鏡を取る。
こうして見つめると、確かに修太郎さんは“しゅーおにいちゃん”で。
「ごめんなさい。私、なんで今まで……」
思い出せなかったことが、とても恥ずかしくて……情けなくて……。私は修太郎さんのお顔を見つめたまま動けなくなった。