あなたに、キスのその先を。
 そこまでお話をうかがったところで、デザートがやってくる。
 食べ終わった食器類が下げられて、代わりに運ばれてきたのは、
「タルトタタンでございます」
 各々の前に、飴色に光るりんごのお菓子が並べられた。

「美味しそうね」

 佳穂(かほ)さんが健二(けんじ)さんと顔を見合わせてにっこり笑われる。

「私と健二のことは気にしなくていいから二人でしっかり話してね?」

 ちょうど話が中断されたタイミングを見計って、佳穂さんがおっしゃる。私はこくりとうなずいた。

「ありがとうございます」

 修太郎さんもお二人を見て軽く首肯(しゅこう)なさってから、「日織(ひおり)さん、僕たちも少し食べてから話しましょう。とても美味しそうですよ」とおっしゃった。
 内容的に食べながら話すようなライトなお話には思えなかったので、私は「はい」とお答えした。

 みんながデザートを食べ終わると、食後の飲み物が運ばれてくる。
 私以外の皆様はホットコーヒーを、私だけミルクティーをお願いしていた。

 珈琲を一口飲まれた修太郎さんさんが、健二さんをちらりと見られた後、先ほどのお話の続きを話し始められる。
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