あなたに、キスのその先を。
***
「健……、高橋さん!」
結局私は休憩時間に高橋さん――健二さん――を呼び止めた。
「あの、少しお時間をいただけますか?」
修太郎さんが離席していらっしゃる間に、彼の目を盗んで健二さんに声をおかけした私は、修太郎さんに申し訳ない気持ちがして、ソワソワと落ち着かない。
「兄さんには内緒の話ですか?」
私の様子にピンときたらしい健二さんが、小声でそう耳打ちしていらっしゃる。
「はい……」
つぶやくように首肯すると、「屋上で待っていて下さい」とおっしゃった。
私は修太郎さんに何も告げないままに都市計画課を空けることにほんの少し抵抗を覚えたけれど、人目につかない場所というとそこくらいしかないか、と思って諦める。
(一臨職の私たちが会議室を占拠するわけにもいかないですもんね)
エレベーターを待ちながら、ふとそう思ってから、過日会議室で起こった修太郎さんとのあれこれを思い出してしまって赤面する。
こんな精神状態でエレベーターを待つのが何となく気恥ずかしくなった私は、階段へ足を向けた。
都市計画課は五階。屋上は七階なので、歩いて上がっても知れている。
「健……、高橋さん!」
結局私は休憩時間に高橋さん――健二さん――を呼び止めた。
「あの、少しお時間をいただけますか?」
修太郎さんが離席していらっしゃる間に、彼の目を盗んで健二さんに声をおかけした私は、修太郎さんに申し訳ない気持ちがして、ソワソワと落ち着かない。
「兄さんには内緒の話ですか?」
私の様子にピンときたらしい健二さんが、小声でそう耳打ちしていらっしゃる。
「はい……」
つぶやくように首肯すると、「屋上で待っていて下さい」とおっしゃった。
私は修太郎さんに何も告げないままに都市計画課を空けることにほんの少し抵抗を覚えたけれど、人目につかない場所というとそこくらいしかないか、と思って諦める。
(一臨職の私たちが会議室を占拠するわけにもいかないですもんね)
エレベーターを待ちながら、ふとそう思ってから、過日会議室で起こった修太郎さんとのあれこれを思い出してしまって赤面する。
こんな精神状態でエレベーターを待つのが何となく気恥ずかしくなった私は、階段へ足を向けた。
都市計画課は五階。屋上は七階なので、歩いて上がっても知れている。