あなたに、キスのその先を。
***

日織(ひおり)、明日の集まりではお前、健二(けんじ)くんとの仲を清算するつもりなんだろう?」

 会合の前日の夜――。
 お父様から応接室に呼ばれて、両親の前に座らされてしまった。

 ピリピリとした空気に、正座した(もも)の上に(そろ)えた両手を所在なく何度も組み替え、組み替えしていたら、お父様が静かな声音でそう問いかけていらした。

「え……?」

 いきなり核心をついたことを言われた私は、瞳を見開いて固まってしまう。

「ほかに好きな男ができたのか?」

 私の返事を待たず、ゆっくりと続けられたそのお言葉に、私はハッとしてお父様を見つめた。
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