あなたに、キスのその先を。
修太郎さんは私を抱っこしたまま、部屋を出てすぐの縁側に腰かけると、抱いたままの私を膝の上にお載せになられた。
背中を彼の胸に合わせるように修太郎さんの前へ座った私の頭から、被せられていたジャケットが取り払われて、外気が頬を優しく撫でる。
「出会った頃を……思い出しますね」
背後から私の腰に腕を回していらっしゃる修太郎さんを仰ぎ見るように振り返ってそう申し上げたら、修太郎さんが照れたように微笑み返していらして。
「本当に。でも……あの頃より随分大きくなられた」
言って、私の唇を親指の腹で優しく撫でる。
「あの頃にも思いましたが、本当に愛らしい唇です」
食べてしまいたくなる、と溜め息混じりに呟かれてから、「幼い貴女に感じた激情を、まさか大人になった日織さん相手に再び我慢しなくてはいけなくなるなんて」と溜め息混じりに仰られた。
「え?」
問いかけると、「さすがに今ここで口付けたらまずいでしょう?」と淡く微笑んでいらして。
確かに、仮にも襖をひとつ挟んだ向こうには皆さんがいらっしゃる。
「今、日織さんにキスしてしまったら、僕は歯止めがきかなくなる自信があります」
そう吐息をおつきになる修太郎さんに、私は思わず笑ってしまう。
「もう、それ、どんな自信ですかっ」
二人して顔を見合わせて笑ってから、なんて幸せなんだろう、と思った。
背中を彼の胸に合わせるように修太郎さんの前へ座った私の頭から、被せられていたジャケットが取り払われて、外気が頬を優しく撫でる。
「出会った頃を……思い出しますね」
背後から私の腰に腕を回していらっしゃる修太郎さんを仰ぎ見るように振り返ってそう申し上げたら、修太郎さんが照れたように微笑み返していらして。
「本当に。でも……あの頃より随分大きくなられた」
言って、私の唇を親指の腹で優しく撫でる。
「あの頃にも思いましたが、本当に愛らしい唇です」
食べてしまいたくなる、と溜め息混じりに呟かれてから、「幼い貴女に感じた激情を、まさか大人になった日織さん相手に再び我慢しなくてはいけなくなるなんて」と溜め息混じりに仰られた。
「え?」
問いかけると、「さすがに今ここで口付けたらまずいでしょう?」と淡く微笑んでいらして。
確かに、仮にも襖をひとつ挟んだ向こうには皆さんがいらっしゃる。
「今、日織さんにキスしてしまったら、僕は歯止めがきかなくなる自信があります」
そう吐息をおつきになる修太郎さんに、私は思わず笑ってしまう。
「もう、それ、どんな自信ですかっ」
二人して顔を見合わせて笑ってから、なんて幸せなんだろう、と思った。