あなたに、キスのその先を。
 例えば……。
 ショートケーキの苺を修太郎(しゅうたろう)さんがお好きだとしたら……私の分も、「あーん」して差し上げるのですっ。
 きゃー、でもこれ、きっと指をチュッてされちゃいますねっ。

 あとは……。
 修太郎さんの寝顔を見ながら背中をトントンして差し上げたり。
 唇に触れても起きたりなさらないでしょうか? 眠っていらっしゃる隙にキスとか……考えただけでドキドキしますっ。

 それから……。
 これは割りと王道ですけど……修太郎さんの口元についたご飯粒を取って差し上げたり。
 もちろんつまんだのは私が食べちゃうのですっ。
 少女漫画とかでよくある憧れのシチュエーションですっ。大抵男性が女性に、ですが逆だってきっと素敵ですっ!

 ……気がつけば、そんなあれやらこれやらの妄想がぶわりと膨らんでしまって――。

「うふふ。どの修太郎さんも、とっても可愛らしいですっ」

 まだ修太郎さんがそばにいらっしゃるのも忘れて、私は思わずうっとりつぶやいてしまいました。
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