あなたに、キスのその先を。
 今何時なんでしょう?

 掛け時計を確認したくて慌てて身体を起こしたら――。
「んっ……」
 下腹部に何とも言えない、ずっしりと重い違和感が走って、私は思わず起こしかけた身体の動きを止めました。

 中途半端に起き上がった身体から肌布団が滑り落ちて……。

「ひゃっ」

 私は未だ一糸纏(いっしまと)わぬ姿な自分に気がついて、慌てて布団を掻き(いだ)きます。

 恐る恐る見下ろすと、身体のそこかしこに修太郎さんが遺していらした薄桃色の鬱血の痕が散っていて……そのことに昨夜のあれこれを一気に思い出した私は、途端頬がぶわりと熱くなるのを感じました。


「――初めてでいらっしゃるのに無理をさせてしまいました。……その、お声以外にどこかしんどいところはないですか?」

 修太郎(しゅうたろう)さんがそんな私を気遣うように問いかけていらして。

 ゆっくりと視線を修太郎さんに転じると、眼鏡こそきちんとかけておられますが、身体の方はTシャツにトランクスという何だかとっても場当たり的でエッチなお姿で。

 そのギャップが逆に恥ずかしいのですっ。

 昨夜あんなことやこんなことを済ませたくせに、それでもやっぱり冷静になってみると、何もかもが恥ずかしくて。

 私は布団に顔を半分埋めた状態で修太郎さんを見つめます。

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