あなたに、キスのその先を。
***
しばらく私の言葉の続きを待ってくださった塚田さんだったけれど、私が先を言えずに躊躇っているのを知ると、ややして話し始められた。
「僕はね、歓迎会が始まってからずっと、心の片隅で貴女がこんな風に酔っ払ってくれたらいいと願っていました。だから……林くんたちが貴女に酒を勧めたときも、キミが困っているのを知りながら、なかなか止めに入らなかったんだ。ずるい男でしょう? ――なので」
そこで一旦言葉を区切ると、塚田さんが私を抱く腕にほんの少し力を込める。
「僕に関して言うならば、キミが引け目に感じることなんてひとつもないんです」
僕に関して言うならば、というところに……私は塚田さんが自分以外の誰かを想定しているのを感じた。
多分それは――。
(……健二さんのことだ……)
告げられた塚田さんの言葉の重みに、私は思わず立ち止まる。
そんな私に合わせて歩みを止めると、塚田さんは私の頭を優しく撫でてくださった。それから、何の声かけもなくいきなり私をお姫様抱っこなさる。
「きゃっ」
突然のことに驚いて、私は思わず彼の首筋にしがみ付いた。
しばらく私の言葉の続きを待ってくださった塚田さんだったけれど、私が先を言えずに躊躇っているのを知ると、ややして話し始められた。
「僕はね、歓迎会が始まってからずっと、心の片隅で貴女がこんな風に酔っ払ってくれたらいいと願っていました。だから……林くんたちが貴女に酒を勧めたときも、キミが困っているのを知りながら、なかなか止めに入らなかったんだ。ずるい男でしょう? ――なので」
そこで一旦言葉を区切ると、塚田さんが私を抱く腕にほんの少し力を込める。
「僕に関して言うならば、キミが引け目に感じることなんてひとつもないんです」
僕に関して言うならば、というところに……私は塚田さんが自分以外の誰かを想定しているのを感じた。
多分それは――。
(……健二さんのことだ……)
告げられた塚田さんの言葉の重みに、私は思わず立ち止まる。
そんな私に合わせて歩みを止めると、塚田さんは私の頭を優しく撫でてくださった。それから、何の声かけもなくいきなり私をお姫様抱っこなさる。
「きゃっ」
突然のことに驚いて、私は思わず彼の首筋にしがみ付いた。